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2022年はいろんなラブホテルの記事を書きます

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今までの活動から最近考えていること、これからしたいことを書き綴ってみました。

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貴重な昭和遺産を求めて

鏡張りや回転ベッドなど、主に昭和の時代にみられた設備や、赤絨毯や別珍の壁紙などの豪華な内装・デザイン……いわゆる昭和レトロな雰囲気の残る「昭和遺産ラブホテル」を探して、あちこち旅をしています。

出会った昭和遺産ラブホテルは、写真やメモで記録したり、鑑賞したり触れたりして楽しみます。

古いものはだんだんなくなりつつあって、昭和遺産ラブホテルも例外ではありません。なくなってしまう理由は高齢化、老朽化や経済的な理由など、ケースバイケースなのでここでは割愛しますが、貴重な存在になっていることは間違いありません。

そんな貴重な存在なので「探す」と言っても、なかなか出会えるものでもない、というのが現状です。

渋い外観のラブホテルに入ったけれど、シティホテルのようなシンプルなお部屋だった。
パネル写真の雰囲気が良さそうだったんですから入ったけれど、写真とは違っていた。
友だちから「昔はこんなだったよ」と聞いていたけど、リニューアルされていた。

……こんなことも日常茶飯事。

そんな時の気持ちを、言葉を選ばずに素直に書いてしまえば「あー、ハズレか……」と思ってしまうのでした。

この趣味を長く続けるほど、たくさんのラブホテルへ訪れるほど、その回数は増えていきます。

でもある時、この「ハズレの概念」が変わっていきました。

楽しみを見出したい!

昭和遺産ラブホテルは「鏡張りや回転ベッドなど、主に昭和の時代にみられた設備や、赤絨毯や別珍の壁紙などの豪華な内装・デザイン……いわゆる昭和レトロな雰囲気の残るもの」を指しています。

昭和のラブホテルの代名詞、鏡張りと回転ベッド

なので、これに当てはまらないお部屋は「ハズレ」だと感じていました。

そういうお部屋に入った時は「部屋を変えてほしい」と言うこともなく、かと言ってすぐ出て行くわけでもありません。貧乏性ゆえに「せっかくお金を払うのだから」と、しっかりと撮影と記録はしていました。

そうした記録が溜まるにつれ「やっぱり昭和遺産ラブホテルは多くないんだ」という事実を受け止めることが辛くなりはじめます。

そして、逆に「なんとかしてこの状況を楽しみたい」とも思い始め、

「そもそもハズレって、失礼じゃないか」
「ハズレと思うからハズレなんじゃないか」

と思うようにもなりました。

楽しめず、ハズレだと思ってしまうのは私自身に楽しむ技術や知見がないからじゃないのか。楽しむ技術がないなら、その技術を習得すれば良いし、そうすればハズレは存在しなくなる、と考えたのです。

余談ですが「ある・ないの概念」も同じような理屈で変わっていて、それはこちらのツイートに書いています。

小さな変化が楽しみや愛着に

2018年「昭和から平成へ……ラブホテルの変遷について」でも書いているのですが、部屋の共通点からデザインの変遷が気になるようになり、だんだんと新たな楽しみを感じるようになりました。

昭和遺産とは言えない部屋は、昭和の華美な雰囲気がないので、細かい部分もしっかりじっくり見るようになりました。時代の移り変わりや内装の変遷など、小さな変化も見つけやすいという利点もあります。

新たな楽しみを見つけたことで、昭和遺産ラブホテル・平成アーバンラブホ、そしてそのどちらとも言えないものにも、だんだんと愛着を感じるようになっていき、「ハズレだ」と思うことはなくなりました

「ウチは、古いだけだから」

活動を続けていく中で、ラブホテルで働く方・経営されている方にお話を聞かせていただく機会も増えました。

そういう時によく聞くようになったのが「ウチは、古いだけだから」という言葉でした。

ホテル業というものは、最新の設備があって綺麗であることが良しとされることが多いようで、ラブホテルももちろん、そう思われていることが多いです。

そんな業界だからか「昔ながらの雰囲気が残っていて素敵です」と言っても、謙遜という雰囲気ではなく、言葉通りの意味で「ウチは、古いだけだから」と話す方が多いように感じていました。

ある日、とあるラブホテルの方とお話をしている時でした。いつものその言葉に加えて「富貴さんみたいに見映えする部屋だったらね、自慢もできただろうけど」と言われました。

富貴というのは、大阪の京橋にあるラブホテル。レトロなラブホテルが好きな方にとって聖地のような場所です。きらびやかで、風情があって、当時の面影を色濃く残す、まさに「昭和遺産」なラブホテル。

富貴の一室

もちろん私も何度も伺っていて、昭和の雰囲気が好きな人は誰しもが魅了されます。昨今のレトロブーム、確かに富貴みたいだったら、アピールもしやすいでしょう。

数年前「ハズレ」を感じていた頃の自分だったら、うっかり「そうかもなぁ」と思っていたかもしれません。でも……。

きらびやかな内装や、風情のあるネオンサインがなければいけないのだろうか?
見映えしなければ、自慢はできないんだろうか?

この頃には各時代の特徴に「当てはまらない」ラブホテルの良さ、時間を重ねてきたラブホテルの良さが自分の中に根付いていました。

少し天邪鬼な気持ちから、置かれた状況を楽しみはじめたけれど、明確な言語化はできないながらも「なんかいいな」と思う感覚はしっかりと自分の中にあったのです。

ラブホテルで働き、そこが生活の一部になっている人には「古いだけ」と感じていることはよくあることです。でも、「見映えしなければ自慢できない」と感じておられることを聞いて、ショックを受けました。

良さを伝えるつもりが、分断を生んでいたのかもしれない

古い、なんだか怖い雰囲気と揶揄されることの多いラブホテルを、素敵な場所であることを伝えるためにこのサイトやSNS、イベントなどを続けてきました。

でも、このまま続けていけば、兼ねてからあった良しとされる価値観の「新しく、綺麗なところ」に加えて「古くて趣のある見映えのするところ」が加わるだけで、それに属さないところは置いてけぼりになってしまうのではないか

それはかつて、昭和のラブホテルたちが「時代遅れ」「古いラブホはイヤ」と言われ続けてきたことを彷彿とさせるのです。

もしかして、私が分断を生んでいた(あるいは加担していた)のだろうか? そしてこのままでは、分断をより大きなものにしてしまうのではないか……それは、すごく悲しいことだと感じたのです。

蓄積して、良さを見つけ続けたい

昭和遺産ラブホテルは、今まで長らく、各所でしっかりとレポートしてきました。それとは逆に、自分の語彙力や表現力のなさゆえに「良さ」を明確に書き起こせなかったラブホテルも確かにありました。

非日常という言葉が代名詞のように使われるラブホテル。でも、日常の延長のような慎ましいラブホテルにも、素敵なところがあります。

見栄えはしなくても、輝くところがあります。

今は想像もつかないけれど、これから時間と共に部屋の表情が変わり、時代ごとに違った様子を見せてくれるかもしれない。

たとえ言葉にするのが難しくても、自分が感じた「なんかいいな」も少しずつでもここに蓄積して、あたため、良さを見つけ続けていきたいと今は思っています。

couples

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昭和ラブホ・平成ラブホ探訪家の「逢根あまみ(あいねあまみ)」が、マジメに、思いのままに、ラブホテルにまつわるあれこれを書き連ねる、“チラ裏的”ニュースレターです。
ラブホテルにまつわるニュース、ラブホレポート、エッセイ、コラムなどを月1〜3回配信。
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この記事を書いた人

昭和の趣の残るラブホテル=昭和遺産ラブホテルの記録・レポートをするユニット「終末トラベラー」主宰。昭和遺産ラブホテル、終末観光地の記録をしています。昭和遺産ラブホテル同人誌「あまみのラブホ探訪」の発行、トークイベントなどもしています。

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