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世良田波波「恋とか夢とかてんてんてん」(マガジンハウス)

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作中にラブホテルが登場する「恋とか夢とかてんてんてん」についてご紹介します。

目次

「恋とか夢とかてんてんてん」とは

世良田波波(せらたなみなみ)さんの漫画で、webサイト「SHURO」にて連載中の作品です。

あらすじ

バイトして寝るだけの人生を送る、29歳フリーターの主人公「カイちゃん」。絵を描くのが好きだったものの、満たされない承認欲求を自覚して一線を引いてしまう。

そんなカイちゃんは、バイト先の社員食堂に来る「高円寺くん」に片思い中。あるとき、その高円寺君が大阪に転勤することを知り、勢いで自らも大阪に引っ越して……。

という、初期衝動をビリビリ感じる物語です。

ピュアでまっすぐなカイちゃんですが、それゆえに暴走することもしばしば。好きになったけれど、ロクでもない高円寺くんに振り回される姿に、やきもきします。

十三のラブホテル街が登場

大阪に引っ越したカイちゃんは、十三に住まいを構えます。

十三と言えば、賑やかな歓楽街や商店街、そしてラブホテル街があります。作品の中で、十三の街が丁寧に描かれているんです。

67ページでは、十三から梅田方面へ向かってカイちゃんが自転車で駆けて行くシーンが登場します。

ホテルニューラインの跡地にできた「東横イン大阪阪急十三駅西口2」から、似たような構図の景色をみることができます。

引用:世良田波波「恋とか夢とかてんてんてん」p.67
ホテルニューライン跡地にできた東横インからの眺め(2019年撮影)

カイちゃんと高円寺くんがデートするシーンでは、ネオンがきらめく十三ラブホ街が登場。

大阪市北部の有名ラブホ街といえば、梅田や桜宮が知られていますが、十三はそれらと少し毛色が異なり、昔ながらの外観が残るラブホテルが目立ちます。

引用:世良田波波「恋とか夢とかてんてんてん」p.115
2016年撮影。印象的な看板が並ぶ十三ラブホテル街
引用:世良田波波「恋とか夢とかてんてんてん」p.116
2016年撮影。よく見ると似た名前のホテルが……

サービスや内装が現代風のところもあれば、昔ながらのきらびやかな内装や奥ゆかしいデザインが残るホテルもあり、その猥雑さが十三のおもしろさ・良さでもあると思います。

きらびやかだけど、どこかさみしげな陰もある……そんな在りし日の十三ラブホテル街が克明に表現されています。わたしはその十三ラブホテル街のきらめきと陰が、カイちゃんの心模様を表しているように思えたりするのです。

また、河原で絵を描くシーンでは、ホテルメイトらしきものも描かれています。十三西側と比べ、ホテルが少ない東側の生活感と、ホテルメイトの非日常感がユニークな1コマもお気に入りです。

ただし、そのシーンは単行本1巻には未収録。続刊の収録になると思うので、今後の発売も楽しみです!

ちなみにメイトは2018年の台風で看板が破損し、翌年2019年には修繕されたのですが、その年の夏に閉業されています。現在は解体され、跡地はマンションになっています。

2018年撮影
2019年2月ごろ撮影

「恋とか夢とかてんてんてん」詳細

単行本

2024年2月に待望の単行本も発売されました。kindleでも読めます。

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この記事を書いた人

昭和の趣の残るラブホテル=昭和遺産ラブホテルの記録・レポートをするユニット「終末トラベラー」主宰。昭和遺産ラブホテル、終末観光地の記録をしています。昭和遺産ラブホテル同人誌「あまみのラブホ探訪」の発行、トークイベントなどもしています。

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