関西から遠く離れた、福岡県久留米市。わたしはある写真を片手に、ラブホテルへ入った。
きっかけ
今年の春、縁あって数々の特殊ベッドを生産されてこられたビケンズベッド販売株式会社の臼井社長を取材させていただいたときのことだ。今までに見たことがない、相撲をモチーフにしたラブホテルの部屋の写真を見せていただいた。その部屋のベッドも製作されたそうで、とても素晴らしく、印象に残っていた。
まさかの出会い
取材後も、どこかに残っているであろう昭和遺産ラブホテルを調査していた時、とあるホテルのwebサイトを見つけた。ご丁寧に全部屋の写真が掲載されていて、なんとその中にあったのだ。あの、相撲モチーフの部屋が。これは、この目で確かめなければ……!!
いざ、九州へ
ホテルRへ到着したのは夕方前。駐車場はいっぱいで近くの提携駐車場に案内していただいた。40以上並んだ部屋パネルは、3つしか点灯していなかった。ここまで来て、入室できなかったらシャレにならない。まばらに点灯したパネルを順番に確認する…と、なんと目的の203号室が空いている!!思わず「わ!」と声を出してしまったが、一呼吸おいて、ボタンを押す。ホテルRでは、部屋を選択後フロントで基本料金を前払いする。支払いを済まし、今時珍しいアクリルの板がついたホテルキーを受け取ってエレベーターで部屋へ向かう。
モダンな廊下
廊下はレトロなタイル、壁紙は赤い別珍だ。ところどころ、すりガラスに描かれた女性があらわれる。部屋のドアも凝ったデザインで惚れ惚れする。
入室!
入室してすぐ左手にはサービス窓口がある。注文した食事などはここから顔を合わせずに受け取ることができる。なお、ここの食事はメニュー豊富な上にお安いので重宝する。
水回り
洗面台
古さは感じるものの、とっても綺麗にされている。備付けのクレンジングやフェイスソープ、化粧水をはじめアメニティも揃っている。さらにドライヤーや、ヘアアイロンまで設置されている。
トイレ
広めのトイレはウォシュレット付き。
バスルーム
広くはないが決して狭くもないバスルーム。ローションマット完備。資生堂のシャンプー・コンディショナー・ボディソープの他に、TSUBAKIのシャンプー・コンディショナーが置かれている。ブランドシャンプーが設置されているのは嬉しい。
ベッド
写真で拝見したまま、そのままのベッドが残っていた。ベッド周辺はカーペットで作られていて、砂をイメージしたかのような色が使われている。段になっていて、屋根もあり、忠実に土俵を再現している。ヘッドボードには行司の持つ「軍配」を模した鏡もある。ベッドやヘッドボードはもちろん別珍を使用していて、高級感のある仕上がりとなっている。
回転ベッドの名残?
ベッドの縁には、黒い板で塞がれたものがあった。ベッドの底を覗いた感じ、このベッドは回転していたのでは……?と想像が膨らむ。回る土俵、回る回転ベッド……なんてキテレツなんだろう!
ただただ感慨深い!
まさか、取材時に拝見した部屋・ベッドが残っているとは夢のようで、ただただ感慨深い。壁紙など、細かい仕様の変化こそあるが、独特のデザインが今この時代に現存しているのは本当に胸が熱い。
ホテルRはビケンズベッドの見本市とも言える、素晴らしい昭和遺産ラブホテル。さらにサービスやコストパフォーマンスも申し分ないので、昭和のラブホテルが好きな方には是非遊びに行っていただきたい。
ホテルR
住所:福岡県久留米市六ツ門町6−7
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