昨年12月に登壇させていただいた「ライターズリビングルーム オトナの社会見学ナイト!」で、パチンコライター・栄華さんが廃業してしまったパチンコホールの「第二の人生」や居抜き物件について教えてくださった。そういえばラブホテルにもあったな……と探してみたらいくつかメモの中に発見したので、ここにまとめておこうと思う。
年々減少するラブホテル
ラブホテルは年々減少していて、80年代のピーク時には1万軒以上あったラブホテルも、2017年度には約5,500軒にまで落ち込んでいる(4号営業のみ、「平成29年における風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」参照)
昭和遺産ラブホテルとかではなく、広義での「ラブホテルのその後」についてのメモなので、4号営業とか旅館業法とか、そういった細かい定義は今回横においておく。
ラブホテルの「その後」とは
前述の数字を参考にすれば、およそ30年で半分に減ってしまったラブホテル。その減ってしまったラブホテルは、その後どうなっているのか。
都会では、ラブホテルを解体した後、マンション・ハイツ・建売などの宅地や、コインパーキングや月極などの駐車場になることが多い。郊外においても、解体後、宅地や駐車場になることが多いが、福祉施設が新設されるケースもあるし、山間部になればなるほど太陽光発電パネルを設置されるケースも多々ある。
駐車場ビフォーアフター
Before
After
太陽光発電パネルビフォーアフター
Before
After
ただ、過疎地になればなるほど、そのまま放置されてしまった物件も多くなる。
(細かい数字はまだ出せていないので、現状は私の経験則のみで説得力にかけてしまうけど)
注目すべきは居抜き
そんな「ラブホテルのその後」の中でもおもしろいと思うジャンルが「居抜き」である。
一般的には前テナントが使用していた当時の状態のまま、看板などの付け替えのみで出店できる状態のことをいう。物件によっては、「床・壁・天井だけあります」「厨房だけあります」というように、内装の一部だけ残っている場合でも居抜き物件という場合もあるが、その場合は「一部居抜き」といった表現をすることが多い。(Wikipediaから引用)
ラブホテルの場合は、そのほとんどが「一部居抜き」に当たると思うのだが、おもしろい物件を下記にいくつか紹介したい。
まず居抜き物件として一番よく見るのは、ワンガレージワンルームタイプのものを、ガレージ付きアパートにしたもの。
中には、コテージタイプのものを、戸建てのように貸し出す物件もある。いくら郊外といっても、駐車場付きの物件を借りるのはそれなりの金額がするけれど、安くで、しかも駐車場が階下や目の前にある物件を借りられるのも、メリットのひとつだと思う。
居抜き物件としては、アパート以外にお店が入ることもある。
例えば、北九州の「momoのパン屋さん」。ここ一年くらいでメディア取材を受けたりもしているみたい。ここほど、ラブホテルの居抜き感のあるパン屋さんは他にないんじゃないかと思う。
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「momoのパン屋さん」以外にも、ラブホテルという役目を終えて、第二の人生を歩む物件がある。
レリーフや青いタイルの壁が印象的なホテル。
現在はバイク屋さんに。
80年代の趣が残る看板がかわいいビル型のホテル。
これは現在、リサイクルショップに。
そしてこれ。往年の姿はストリートビューで見られなかったのだが、パルテノン神殿を思わせるような縦のラインが美しいこのホテルの現在は……。
まさかの「お寺」……ラブホテルの第二の人生も、それぞれである。
ラブホテルの第二の人生、それも貴重な資料になりうる。
ラブホテルのその後にも、解体や居抜きなど、いろいろある。momoのパン屋さんのように、ラブホテルとしての使命は終えても、その建物とともに人生を歩む方もおられるし、それにともなって時代の流れや愛着、そのひとの思い……いろいろなことに思いをめぐらす。
寂しくなったり、勇気づけられたり、そういう思いが自分を構成する一部になるかもしれない。存続が難しい業態であるが故に、「ラブホテルのその後」の記録は、ラブホテル・街・人の歴史として貴重な資料になりうるかもしれない。
今はまだ全体が見えていないし、これから知ること・わかることがまだまだたくさんあるだろうから、大きなことは言えないけれど、昭和遺産ラブホテルと並行してメモしていけたらと思う。
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