今回は古の掲示板書き込みを頼りに、“丸いベッド”を探しに島根県松江市へ。果たして目的の客室に出会えるのか……
島根県松江市へ
松江市から国道431号を東へ、境港に向かう途中にあるのが「ホテルミルキーウェイ」だ。
看板
90年代前半の雰囲気を感じる看板は、当時は都会的な印象を持たれていたのでは……と思わせるデザイン。
看板で左折して細い道をあがっていくと、守衛所のような小さな建屋があらわれ、その背後にホテルミルキーウェイの建屋がドンと構えている。
念願の206号室へ
今回の目的は206号室だ。実は、4年前の春に一度訪れているのだが、その時目的の部屋は空いておらず、スケジュールの都合で泣く泣く帰ったのだった。今回は念願の再訪問。
ミルキーウェイの206号室を目的としたのは、インターネットの広大な海で見つけた古い掲示板の書き込みがきっかけ。果たして目的のものは残っているのか……。ホテルミルキーウェイはモーテルタイプで、206号室のガレージを見たところ部屋の写真はない。こういうとき、うっかり期待してイメージと違うことでガッカリしてしまうのは世の常だ。「期待するな、期待するな」と、高鳴る胸に言い聞かすように、深く呼吸をしながら車にある荷物をまとめていく。
206号室は階上に客室があるので、階段で移動する。メルヘンチックなパステルカラーの建物に入り、鮮やかなグリーンの階段をゆっくりのぼる。異様に胸がドキドキするが、これはきっと運動不足で階段をのぼっているせいだ。きっとそうだ。
いざ、入室
ドアを開けると広めの玄関。段差が高く、鈍臭い私は油断すると足を引っ掛けてしまいそうだ。
水まわり
玄関から右手奥を見ると水回りがある。
トイレ
いちばん手前に位置しているのがトイレだ。白、ベージュ、ピンクなど淡い色合いでまとめられている。便座シートやナプキンなども設置されていて、気遣いが感じられるトイレだ。
洗面所
洗面器の両サイドにスペースがあるので使用感の良い洗面台。また鏡も大きいことも利便性が高い。
かなり奥まった場所にある洗面所だが、ほかの部屋に比べると明るい気がする。
バスルーム
バスルームはかなり広く、全体的に経年劣化は見られるものの清潔にされている。
バスタブはTOTO製で金ラメのもの。少し赤みが強く、カッパーっぽい気もする。バスタブ自体の大きさは標準的なものだと思う。ここも白や水色を基調にしていて、さわやかな印象だ。
アメニティ
男性向け(パウチ)
- 化粧水ジェル
- 養毛剤
女性向け(パウチ)
- クレンジングオイル
- クレンジングフォーム
- モイスチュアローション
- モイスチュアミルク
その他
- 歯ブラシ(2本)
- カミソリ
- ヘアゴム
- コットンセット
- ヘアブラシ
- シャワーキャップ
- マウスウォッシュ(2こ)
- ローション(パウチ)
- フェイスソープ
メインルーム
玄関の真前、カーテンで仕切られた向こうはメインルームになっている。
部屋のデザインはシンプル
暗い部屋の電気をつけると、リビングルームのようだ。アイボリーやナチュラルな木目を基調としていて、客室自体のデザインは非常にシンプルだ。
テーブルと、ソファ、それからテレビや精算機、レンジやお茶などが整然と並んでいる。棚にはアダルトゲームブランドA社による某タイトルのヒロインのイラストが飾ってある。どうやら公式イラストではなさそう……? 同人グッズだろうか。
またテレビの横にはたくさんの本が並んでいる。オタク雑誌、漫画雑誌、アウトドア雑誌などジャンルはごちゃ混ぜ。ラインナップが謎めいており、これもまた面白い。
これがマリンボール
ソファの向こう、部屋の奥には円形のベッドがある……のだが、これは普通の円形ではない。いわゆる「マリンボール」と呼ばれるものだ。
マリンボールは、ビケンズベッドが製造していた特殊ベッドの名称で、かぼちゃのように丸い球体状になっているのが特徴だ。ただし、証紙やプレートが見当たらず、このベッドがビケンのものかどうか、確証を得ることはできなかった。酷似しているものの、他社製で似たものも製造されているので判断は難しい。
このマリンボール、回転ベッドでもあるのだが、ここのものは動かなかった。もともと動いていないのか、それともどこかの段階で稼働しなくなったのかはわからないが、ベッド底を見た感じでは昔は動いていた可能性が高い。また、ヘッドボード周辺も張り替えなどされたように見受けられ、操作盤はもちろん、それがあったかどうかも判断は難しい。
また、頭側に3枚、足側2枚、それぞれ小さな円形の板が貼られていて、天井にも同じような板が貼られていた。他のラブホテルに置いてあった同型のベッドは、これらが全て鏡になっていた。おそらくはこれも鏡だったのだろうけれど、今は何もうつさないただの板だ。(余談になるが、島根のラブホテルは他県と様子が少し違う。風営法の規制が厳しい、という話を島根のとあるラブホテルオーナーから聞いたことがあるのだけれど、その影響だったりするのだろうか……?)
とはいえ、赤色の別珍は概ね残っていて、当時の残り香を感じるには十分すぎるくらいだ。ベッドの上でゴロゴロと当時の面影を楽しんでいると、布団の下にちらりと何かが見える。布団を少し上に捲ってみると、紫色のマットレスが。非常に艶やかな色味で、別珍を使用しているのも贅沢だ。マットレスまでこんなにこだわっているものとは、なかなか出会えない。銅板と、赤色のボディと、紫色のマットレス……なんて素晴らしいのでしょう。(あえて写真は載せないけれど、リネン屋さんのタグも可愛らしかった)
いずれにしても、このマリンボール、あるいはそれに類する同型ベッドが貴重なことには変わりはない。私が確認できている台数で言えば、全国で片手で足りるほどだ。まだ見ぬ場所に現存していたとしても、両手で足りるくらいだろう。
VRラブホ
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
まとめ
手入れも清掃もされていて心地よく利用できる上に、料金も手頃なホテルミルキーウェイ。他にも「平成アーバンラブホ」と呼べるような趣のある客室がいくつかあるので、何部屋かハシゴしたくなるような昭和遺産ラブホテルだ。携帯の電波は少し弱いがwifiが利用できる。島根・鳥取の旅の拠点にもおすすめ。
(昼間2時間ほどの利用)
利用料金、設備は2020年訪問当時のものです。料金は、利用日・時間によって変わります。この記事の限りではありませんのでご注意ください。
ミルキーウェイ 詳細
島根県松江市美保関町下宇部尾517-4
https://localplace.jp/t000247391/photo/
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