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【京都府久御山町・ホテルブリッヂ】老舗ラブホテルにインタビュー(後編)

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京都府久御山町にある、老舗ラブホテル(モーテル)の「ホテルブリッヂ」のオーナーと、その息子さんにインタビューをしました。

前編では、ホテルブリッヂができるまでと、運営についてお聞きしました。後編では、ラブホテルで営まれる生活にフォーカスしたお話を書いています。ぜひ最後までお付き合いください!

※以下、オーナー=オーナー息子さん=子となっています。

字体のかわいさが引き立つスイッチパネル。おそらくダイツー製
目次

ブリッヂと人々

息子さんのUターン

あまみ

今メインで運営されてるのがお父様(オーナー)と、その従業員の方ですよね。WEB関係のサポートは息子さんがされてるんですか?

子:そうですね、販促……例えばTikTokの動画撮ったりとか、POPの作成とか、業者さんとやり取りしたりとか、そういう感じのところをやってますかね。

あとは、父の作業負担を軽くするような部分を僕の方でやっています

オーナー:頭脳的なことね。だいぶ楽になりまっせ。ちょっと怠け癖ついてかえって仕事せえへんね。

あまみ

息子さんが戻られたのはいつごろなんですか?

子:2023年8月ですね

オーナー:従業員もいるんやけど、代表は僕だけやからね。どうやってこれから販促していこうかなーと思っていたところ、手伝ってくれるって言ってくれて。

手伝ってもらおうと思ってなかった。職人さんのとこ見てみなはれ。継いでくれって言う人、少ないですよ。修行に時間かかる、販売でも時間かかる、それで腕がなかったら売れへん。そういう難しい仕事を子や孫に「せえ」とは、苦労した親は言いません。

子:ぼくも40代になって、これから自分のキャリアをどういう風にしていくか見直していく中で、会社で働きながら、ここ数年フリーランスでちょっとした事業を立ち上げたんです。

その中で、家業の商売に目を向けてみると、40年50年続いてることであったり、常連のお客さんに支えられて、コロナ禍でも潰れずに乗り越えてやってる商売ってすごいことだな、尊いな、と思ったのがきっかけでした。

ガウンのポケットにはレトロな字体の「ニューブリッヂ」

従業員との関係

あまみ

今日、バックヤードを通ってこの部屋にご案内いただいて……バックヤードの声がちょっとこっちに聞こえたんですけど。
みなさん、仲良さそうですよね。

従業員さんは何人くらいいらっしゃるんですか?

オーナー:みんな仲いいですね。多分、社長と思とらへんから(笑)

僕入れて14人ぐらい。40~50代が中心やけど、20代の人もいるし、結構幅広くなったねぇ。10年以上おる人もいますよ。

あまみ

みなさん勤続長いんですね。長いってことは居心地がいいっていうことですもんね。

オーナー:居心地がええかどうかは本人らに聞かないとわからんけど。

仲ええけど、一緒に働いているといろんなことがあります。女性の方が多いけど、男性も数名いるし、多様化はしてきていますね。

あまみ

女性が多いと、気を遣ったりしませんか?

オーナー:全然しません、家族同様に過ごしている時間が長いからね。

子:僕も最近よくここに来て、従業員の方との様子を見ると、やっぱり長年一緒に過ごしてる雰囲気というか、従業員と社長の関係だけじゃなくて……。

何て言ったらいいんですかね、ファミリー感って言うんですかね。そういうのがあります。

昭和59年の求人広告。当時の京都の最低賃金は439円でした。1

お客さんとの関係

オーナー:常連さんで、一番長い人と思うねんけど。会計の時に「社長いつも声同じでんな-、若いでんなー」って言いはんねん。

その人曰く「俺20歳からここへ来てんねん、やっと還暦になってん」って。

あまみ

へえ〜! それ嬉しいですね!
すごいことですね、40年だ。

オーナー:もう嬉しいですよ! ほんまでっか~って言うたもん

でも、そんなお客さん多いんです。よく来てくれはるのには涙が出るぐらい嬉しいです。最近は新しいお客さんも増えてきてますけど、定期的に来ていただけると本当にありがたいですな。

あまみ

常連さんにたくさん支えられてるんですね。私も実は来させてもらったことあるんです、休憩で。なんかすごい落ち着くな〜と思って。

ここには優しさ、あたたかみがあるから、落ち着くんやろなって……。理由がわかったような気がします。

13号室のパネル写真。改装前のもの

ラブホテルと生活

あまみ

ブリッヂにいるときは、どのように過ごしていますか?

オーナー:朝は、仕事しやすいように段取りしておいたりします。お客さんが帰ったりしたら片付けして、その合間で新聞読んだりして。お昼3〜4時くらい、長いときは夜6時くらいまでおりますねん。

それで、家帰って、ご飯食べて、嫁さんとちょっと喋ってお風呂入って寝ます。

ここにおる時は、大体2食は、自分でごはん作って食べるねん。材料こうてきてね。

子:家のご飯とかちょっと余ったやつを持って行ったりとか、ちょっと何か作ったりとか。実はこっちが家なんじゃないか、みたいな(笑)

オーナー:毎日作ります。作る言うても、楽に作れるようにしかせえへんから。このごろ冷凍のお好み焼きに凝ってますねん。200円ぐらいで売ってます。

それを買うてきて、キャベツ切って上に乗せて、その下に豚肉の厚いやつを入れて、増し豚・増しキャベツ。

ほんで、レンジでチンしたら、もう1000円ぐらいのお好み焼きみたいになる。野菜は必ず取るからね。もう何も食べるもんなかったら、もやしラーメン、袋ラーメンにもやし。

あまみ

美味しそうですね!

空き時間の過ごし方

子:あと筋トレとかもするもんね、スクワットとかね。

オーナー:60回。で、腹筋50回はします。ほんでこのハムスト……なんやっけ。

子:ハムストリングス

オーナー:ハムストリングスを伸ばすのは1分ぐらい毎日やります。

あまみ

毎日! それはここで? 家で?

オーナー:そこで。(バックヤードを指して)事務所。

子:ちょっと空いてる時間にね。

13号室(213号室)

今後のブリッヂ

あまみ

これからは息子さんにも手伝ってもらいつつ、運営していかれると思うんですが、お二人それぞれ、今後どうしていきたいなど展望はありますか?

オーナー:そこは手伝ってくれるっていうだけで、ほっこりしますわ。今まで息子に手伝ってもらうなんか考えたことないからね。

子:今までの良い部分を活かしながら、少しずつアップデートさせていきたいなと思っています。

さっき父が申し上げたように、いろんなお客さんが来ますし、ラブホテルの前に「宿泊施設」なので、お客さんにとって居心地の良い空間を提供したいと考えています。

お客さんのニーズも多様化していて、出張で来られる方やお1人で過ごされる方、お酒や食べ物を持ち込んで飲み会をされたり。

僕自身、ホテル経営はまだ素人ですが、ユーザー目線で今の昭和レトロの雰囲気を残しつつも、より良くしていきたいですね。

ラブホテルが紡ぐ日々が愛しくなるインタビューでした!

私にとって身近な場所にあるブリッヂは、生活に溶け込むように存在しています。

ラブホテルは非日常な場所であると認識されがちですが、そこにも当然ながら歴史や生活といった「日常」があります。

頭では理解していましたが、実際にそれを見聞きすることで、ブリッヂが紡ぐ日々の尊さを感じることができたインタビューでした。

ブリッヂは、写真映えする目立った設備があるわけでも、豊富なルームサービスがあるわけでもない、シンプルイズベストなスタイルのモーテル。

でも、「ホテルブリッヂ」だから感じられるあたたかみが、確かにあります。

息子さんが加わって新しいフェーズに入ったブリッヂが、これからもかけがえのない日々を重ねてくださることを願わずにはいられません。

ホテルブリッヂ 詳細

京都府久世郡久御山町野村村東410

couples

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昭和ラブホ・平成ラブホ探訪家の「逢根あまみ(あいねあまみ)」が、マジメに、思いのままに、ラブホテルにまつわるあれこれを書き連ねる、“チラ裏的”ニュースレターです。
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この記事を書いた人

昭和の趣の残るラブホテル=昭和遺産ラブホテルの記録・レポートをするユニット「終末トラベラー」主宰。昭和遺産ラブホテル、終末観光地の記録をしています。昭和遺産ラブホテル同人誌「あまみのラブホ探訪」の発行、トークイベントなどもしています。

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