ロードサイドからオーラを放つ、存在感のあるラブホテルが、今回ご紹介するところ。
初めて訪れたのは、もういつだったか思い出せないくらい……それくらい何年も前だ。夜にこのラブホテルの近くを通る機会があって、現存確認だけしに行ったのが初めてだった。その日の翌日に予定があり、どうしても帰らないといけない状況だった。煌々と輝く看板を横目に、泣く泣く帰宅したのだった。
閉店……?
それからまた数年経ち、やっと機会に恵まれて訪れたが看板は灯っていなかった。閉店したのか……とショックを受けながら入り口に近づくと立て看板が置いてある。
「工事により夜間一時期休業します。昼休憩は営業中です。」
ふうぅっと息を吐いて、その場でしゃがみこんだ。看板を撮って、すぐに再訪の予定をたてた。
到着
それから10日ほど経ち、再訪が叶った。今度は昼間に訪問した。掃除が追いついていないのか、意図あって制限しているのかはわからないが、ほとんどの部屋が使用中だった。ワンガレージワンルームタイプなので、車を停めて客室へ向かう。
玄関
玄関は非常に広い。正面には客室へのドア、左手には洗面台、右手にはトイレやバスルーム。美しい指輪を大きくしたようなランプも壁にかかっていて、玄関だけでも雰囲気が良い。
水まわり
玄関左手の洗面台は、昔ながらの洗面台といった感じで、非常にコンパクトだ。鏡、ハンドジェルなど必要最低限の設備のみ。
そして玄関右手の手前側にはトイレ。黄色とグリーンのアクセントカラーのタイルが可愛らしい。
そして奥にはバスルーム。壁はトイレと同色のタイルを使用しているが、床はビビッドな赤色のタイルで、バスタブ(という言葉より湯船、の方が適切かもしれない)は岩風呂をイメージしたような造りになっている。特筆すべきは壁の絵だろう。印象的な裸婦の絵が描かれている。
メインルーム
玄関正面のドアを開けると、メインの客室だ。開けた瞬間、長い時間を感じさせる香りがふわりと鼻をくすぐるとともに、そこには高貴な空間が広がる。赤い絨毯、別珍のクロス、真っ赤なソファ……絵に描いたような、艶かしいラブホテルの一室だ。
間接照明など、照明器具も効果的に配置されていて、陰影が出て色っぽい印象を与える。細かい部分もしっかり鑑賞したくなる内装だ。
壁には城が描かれたクロスが貼られている。ソファに腰をおろし、ふと壁に目をやれば、どこかの外国で窓の外を眺めているような気分になる。少し目線を外せば、お茶のセットやスキン販売機が目に入って、ラブホテルであるという現実に引き戻されてしまうけど、ほんの一瞬でも現実逃避ができる美しい部屋であることに間違いはない。
鏡台・アメニティ
現代では珍しくなってしまった鏡台も、ここでは空間を形作る重要な要素のひとつ。鏡台にはアメニティも備え付けている。
ヘアトニック・化粧水はボトルで設置。ヘアブラシ・シャワーキャップ・カミソリ・ハブラシはポーチに入れて置かれていた。ドライヤーも鏡台に。
懐かしさを感じるカラオケシステム「クラリオンシンセサイザーカラオケシステム」も。きちんと動きはするけれど、最新の楽曲はもちろん入っていない。とはいえ、ここでは歌謡曲の方が似合うだろうから、これでいいのだ。
リビングの奥にはベッドルーム。リビングよりも、もっと色気のある部屋になっている。部屋の三面は鏡が配されていて、内1面は黒いレースのカーテンがかかっている。クロスは同じく別珍のもので部屋のカラーは赤や紫を基調にしており、シルバーのエナメルを使ったベッドが映える。照明器具も、デザイン性の高いものを使用していて、美しさを後押ししている。
ベッドのシーツをよく見ると、とある会社のロゴが入っている。この会社はラブホテルチェーンで知られる会社なのだけど、なぜその会社のシーツがここにあるのかは謎だ。
インフォメーション
ここには料金案内などが書かれたインフォメーションファイルが置かれているが、ここに部屋案内ページがある。
雰囲気という項目に、スタッフから一言そえられているのだが、これがまたなんとも味のある文章なのだ。ぜひ実際に訪れて読んでみてほしい。
まとめ
退室時はフロントへ内線を。部屋まで集金に来てくださるので利用料金を支払おう。派手な特殊ベッドがあったり、広いバスルームがあるわけではないが、この部屋でしか体験できない空気感・美しさ・色っぽさがある。
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