北九州市小倉南区。北九州市には7つの区があるが、その中で一番面積の広い区だ。市内で2番目に人口が多く、空港もある大きな町。交通が発展し、人口も増え……となると多いのが「ラブホテル」である。この町でも昭和遺産ラブホテルを探していたが、思わぬものと出会った。
空港のあった町
それは、旧北九州空港のあった曽根地区にほど近い葛原という場所。現在の北九州空港は北九州市小倉南区と京都郡苅田町にまたがる人工島にあるが、2006年までは曽根という地区にあった。現在でも曽根周辺では「空港」と名のつく建物が残っていたりする。老舗ラブホテル・ホテル空港もある……はずだった。
元ラブホテルのパン屋さん
大通りから少し入ったところに、「パン」と書かれたのぼりが数本立っている場所がある。白い壁が続くひっそりとした佇まいは、即時に”パン屋”と認識するには難しい見た目をしている。まるで郊外のモーテルのような、コンパクトな入り口に「momoのパン屋さん」の看板が掲げられている。ここが、元ホテル空港であり、現在はパン屋さんとして営業している「momoのパン屋さん」だ。
そのまんまラブホテル!
中に入ると、いわゆる郊外のモーテルのつくりになっていて、ずらっとガレージが並んでいる。普通は部屋番号が書かれている場所には「お客様用」と書かれていて、現在ではお客さん用の駐車場になっている。
駐車場に車を停め、降りてまわりをみてみる。郊外のモーテルによくあるシャッターの昇降ボタンもあるし、奥には客室へ繋がっているであろうドアもある。どうみてもよくあるラブホテルの光景なのに、ここは正真正銘パン屋なのである。
店内へ
その中に、綺麗に花が植えられてカントリー調に整えられた、パン屋さんっぽい一角がある。そろりとドアを開けるとふわっとパンの香りに包まれる。
店内はシンプルかつコンパクトで、パンが綺麗に並んでいた。惣菜パン、菓子パンなど様々なパンがある。どれも美味しそうだけど、今回はピタパンとドーナツ、菓子パンの詰め合わせを購入した。
ラブホテルからパン屋さんへ
momoのパン屋さんの店主さんは物腰の柔らかい、年配の男性だった。この男性がホテル空港のオーナーでもあった方だ。1970年代、先代であるお父さまがホテル空港を開業し、店主さんが30代のころ引き継いだ。その頃はちょうどバブルで大変好調だったそうだけど、不況のあおりを受け、4年前に自主廃業した。元々趣味でパンを焼いていた店主さんは、パン屋への転向を決意。ホテル経営時代に培ったDIY技術で、自らこのホテルのガレージの一つをパン屋に改装し、momoのパン屋さんをオープンした。現在では11組、60人もの生徒さんをかかえるパン教室の先生もされている。
DIY精神はとどまることをしらない
パン屋さんをDIYで作った店主さんは「今ピザ釜作ってるんだよ」と、外へ案内してくれた。案内してくれた先は、さっき車を停めた駐車場の隣のガレージだ。中を覗くと、確かにピザ釜がある!
店主さん「パン教室の生徒さんとか、粉屋さんとかも手伝ってくれてさ」
ピザ釜でピザを焼く際に使用するピザパドルもあり、本格的だ。
あまみ「ピザパドルもあるんですね!すごい!」
店主さん「これも作ったんだよ、ここの板を剥がして材料にしたんだ」
店主さんが指差す方向を見ると、シャッターのケースの端っこに穴があいている。本当になんでも作っちゃうみたいだ。店主さんのDIY精神は、すごい。
購入したパン
今回購入したパンは、宿泊先で実食。手のひらサイズの小ぶりなパンは、女性や子供に食べやすい大きさ。惣菜パンは具材がぎゅうぎゅうに詰まっていて、見た目のサイズより満足感がある。菓子パンは、やさしい甘さでティータイムやおやつにピッタリ!ごちそうさまでした。
まとめ
ラブホテルから居抜きでパン屋へ転向した、珍しいお店。パン教室は月1回1,500円(材料費込み)と超お手頃価格!パンづくり・ものづくりが好きなエネルギッシュな店主さんに会いに行ってみてほしい。
momoのパン屋さん
住所:福岡県北九州市小倉南区葛原東4丁目8−27
電話:093-471-1717
営業時間:9:00〜19:00
定休日:月曜日、第4日曜日
コメント
コメント一覧 (2件)
始めまして、ここは良く見てますのでよろしく願いします。
ホテル空港時代の内装を撮った写真も欲しかったですねぇ・・・ええ・・・。
コメントありがとうございます。今後とも「終末トラベラー」よろしくお願いいたします。現在はパン屋さんですので、何卒ご理解いただけましたら幸いです。