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「ラブホ探訪」のマイルール

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私は、ラブホ探訪において自分にルールを課している。

ラブホ探訪をはじめてしばらくの頃は、特に何も考えず、ごくごく普通に入室し、記録が終われば退室をしていた。しかしその後、ラブホテルのスタッフさんやオーナーさん、利用者さん(ごくごく一般的に利用する人や建築物として楽しむ人)それぞれと交流する機会をいただくことになり、また、自分自身関連書籍等を読んでいろんなことを知っていくこととなった。その中で「これは気をつけないといけないな」と、自戒する機会も増えてきた。

自戒のため、ルールをいくつか決めた。このルールは自分自身に課した「マイルール」なので、どこに書くということはしなかったし、誰に言うということもなかった。

しかし、ここ最近イベントなどで「こういうことってしていいんでしょうか」とか「これってホテルさんにご迷惑じゃないですかね、どう思いますか」と、意見を聞かれることが数回あった。

好きになって、いろんな場面に触れて、対象のことを知れば知るほど「これでいいのか」「こういうのは良いのだろうか」と思い悩む場面に直面することが増えてくる。同じように思い悩んでしまったり、モヤモヤを抱えている人がいると知って、あらためて自分の考えや思いをまとめてみるのも良いかもしれないと思えた。

前述のとおり、これはただの自戒で、マイルールだ。良い・悪いとか、問題提起ではない。ただ、これをまとめることで、より愛情をもって対象と向き合える自分になりたいと思うし、同じような気持ちをお持ちの方に少しでも参考になれば嬉しいと思う。

目次

ラブホ探訪のマイルール6か条

其の一 入室はすみやかにする

ラブホテルには様々な目的の方が来店するが、中でも「人にみられたくない人」は多い。道ならぬ恋をしている方、シャイな年配カップル、デリヘルなどのお仕事の方……いろんな方が来店する。

ラブホテルの入り口や、面している道路、廊下やガレージなどの共用部分で写真を撮る人がいると不安になってしまう利用客もいるだろう。そういう場面に遭遇することで、そのホテルの利用者が減ってしまうことにもなりかねない。

共用部分やフロントなどでも、魅力的なデザインが施されていて、ゆっくり観賞したいことも多々あるが、上記のことからすみやかに移動・入室することを心がけている。

其の二 設備を大切に

昭和遺産ラブホテルや平成アーバンラブホはその存在はもちろん、内装や設備、備品も当時のものを残していて、貴重なことも多い。

当時のものを残している場合、些細なことや操作でうまく動作しなくなってしまったり、布が傷んでしまったりすることも往往にしてある。

ラブホテルは不特定多数の人が利用する場所ではあるので、仕方のない部分はあるにせよ、せめて自分は細心の注意をはらいたいと思っている。

其の三 金は惜しまない

ラブホ探訪では、こういうことがよくある。写真パネルを見て、気になって入ったものの写真とはまったく違う内装に変わっている客室。WEBサイトがないラブホテルや、写真パネルの設置がないラブホテルなどに探訪した際、思い切って入室したもののビジネスホテルのような質素な客室だった……。

こういう時でも(もしホテル側に非があったとしても)文句を言わずにその客室を記録すると決めている。
写真パネルと違ったり、設備の不備があった場合には、部屋を交換してくれ!と申し出たい気持ちも、正直、ゼロではない。

でも、誰かが入った部屋は、何も使っていないように見えてもルームメイクをしてリセットしなければならない。それは衛生上の理由もあるだろうが、安全上の理由もあるだろう。そしてそれにはそれ相応のコストがかかる。コストがかかる以上、私がそこに入ったのだから料金は支払うべきだと思っている。

利用する・お金を支払うことは、昭和遺産ラブホテルを少しでも長くこの世に留めておくには最重要事項だ、と思っているからだ。

其の四 廃墟に配慮

昭和遺産ラブホテルは、その命を終え、廃墟になってしまってもなお魅力的な存在だと思う。看板や外観を撮って、素晴らしさを共有したいと思ったり、こんな素敵なラブホテル廃墟があった!と知ってほしい気持ちになることがある。

しかし、ラブホテルは廃業後、廃墟になっても検索が容易にできてしまう面があり、屋号や周囲の環境が分かれば割とすぐに特定できる。そうすると、いたずらや放火などのリスクが高まってしまったり、売り物件の場合には持ち主や周囲の住民に迷惑がかかってしまうこともある。また、地方のいわゆる「モーテルタイプ」のラブホテルでは、一見廃墟に見えても住まいや倉庫として使っていることも多く、その場合には多大なるご迷惑をおかけすることになりかねない。

長い歴史の中で、ラブホテルはその性質上、地域から忌み嫌われることも少なくなかった。そして、廃業して廃墟になったら、また違った意味で地域から疎まれることになってしまう。それに拍車をかけないように、WEBサイトの公開・更新などでは細心の注意をはらうことにしている。

其の五 周囲の人を不安にさせない

ラブホテルを建築物として愛でる「ラブホ探訪」という趣味は、ニッチな趣味だ。だからこそ、周囲の人を不安にさせないことが重要だと考えている。

前述のとおり、ラブホテルの周囲をうろうろしたり、共用部分を撮影することは他の利用客やスタッフの方を不安にさせてしまう恐れがある。廃業したラブホテルに配慮しないと、ラブホテルはその役目を終えても疎まれる存在になってしまう。

たまたまその場に居合わせた人や通りすがりの人たちに、この趣味を瞬時に理解してもらうことは難しいだろう。かと言って、じっくり丁寧に説明して理解を深めてもらう機会をいただけることもない。

「なんだろうこの人」「なんで写真バシャバシャ撮ってるの?」と不安にさせてしまうことは、他者への恐怖感につながってしまうかもしれない。そしてそれは、数少ない「ラブホテルを建築物として愛でる」同士の楽しみを奪ってしまうことにつながりかねない。

いつも、自分がどこまで配慮できているのかは、正直なところ自信がない。でも、常日頃から気を配ることは大切だと思っている。

其の六 悪口は書かない

「こんな素晴らしいところがありましたよ!」と昭和遺産ラブホテルの良さをたくさんの人に知ってもらえたらいいな……という思いで、このサイトを立ち上げた。

当初から一貫して決めていることがひとつあって、それは「悪口は書かないこと」だ。文字や言葉にして相手に伝えるというのはひどく難しいところがある、というのは普段の生活でも感じていて「面と向かった人と人」でも難しいのに、ネット上で不特定多数に向けて書くのはとても勇気のいることだった。

良いことを書いても、思った通りに伝わらないことなど往往にしてあるのだから、悪口なんて書いたら尾ひれがついてしまうかもしれない。そもそも、一度もこの業界に従事したことのない私が評論してもしょうがないので、見たままを記録して、その上で好きなところをありったけ書く方が良いだろうと考えた。

しかし昨年、「あまみさんが書いた記事を見て来た人が、「ネット(このサイトの記事)に書いてたように、良いとは思えなかった」とクレームを入れてきた」ととあるホテルさんから打ち明けられた。悪口を書かない、と決めてもこんなことが起こるのか……と(正直なところ)ショックを受けて、ホテルさんに無用のクレームが発生しないよう、そして自分が好きなように書くために今年から屋号を伏せる形で記事を書くスタイルに変えたりもした。

ともあれ、今までの活動の中で、自分たちのお店や、業種そのものを卑下する方に出会うこともあった。そういう方々に記事を読んでもらったり、お話する中で「励みになった、頑張ります」と言ってもらえることは私にとっても励みになる……ということを痛感した。

これからのこと

現時点では、こんなことを考えたり思ったりしながら、日々活動している。でも、私はまだまだ未熟で、知らないことやわからないことも多い。今後出会う人や出来事によって、この考えや思いが変わることもあるだろうけれど、自分自身をアップデートしながらより良い活動になるように精進したい。

couples

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昭和ラブホ・平成ラブホ探訪家の「逢根あまみ(あいねあまみ)」が、マジメに、思いのままに、ラブホテルにまつわるあれこれを書き連ねる、“チラ裏的”ニュースレターです。
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この記事を書いた人

昭和の趣の残るラブホテル=昭和遺産ラブホテルの記録・レポートをするユニット「終末トラベラー」主宰。昭和遺産ラブホテル、終末観光地の記録をしています。昭和遺産ラブホテル同人誌「あまみのラブホ探訪」の発行、トークイベントなどもしています。

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